My Santa Claus




























































“23”














日めくりカレンダーはその“23”という数字を表していた。

そしてこの日めくりカレンダーの月は“12”














「…あ、明日クリスマス・イヴじゃん」














そして気付く。12時間後にはもうクリスマス・イヴだという事に。




























































自分が所属しているわけでもない男子テニス部の正レギュラー専用の部室のソファに寝転がり、
雑誌を読みながら無造作にポッキーを貪る。


それを何度か繰り返していたら、ふ、と壁に掛けられていたカレンダーが目に入ったのだ。














「…私の彼氏は 何かしてくれんのかねぇ」














そう呟き、雑誌へと目を戻した。




























































ガチャ


ガヤガヤ…




静かだった部室に部活が終わったレギュラー達が入ってきて、
一気に熱気と話し声が聞こえ出した




「ぁ、
「いっつもご苦労さん。」




向日と忍足が私に気付いて、話しかけてくる。




「いっつも待っとるけど…『待て』て言われてんの?」
「いや…言われてないよ」
「へぇ…意外。
 って尽くすタイプやったんや」
「べ、別にそんなんじゃな「



忍足の言葉に反論しようとした私の言葉を遮って私の名前を呼んだのは

私が ここに居る理由である―…


景吾だった。




「今日も待ってたのか」
「…悪い?」
「いや?嬉しいぜ?」



ニヤリと笑いながら返答する景吾に悔しさを覚えながらも、刃向かう事は出来なくて。

いつも通り、私の負け。



私は部室を出て、着替えが終わるのを待つ。

もう辺りは暗くて、冷えてきていた。



はぁ、と真っ白な息が宙に浮かぶ。

その何処か幻想的な風景を見ながら、明日のことを考えていた。




























































景吾は 何かしてくれるのだろうか














彼女である 私に。






























景吾の事だから、やるといったら結構凄い事してくれるだろうけど…

なんて考えて、自惚れかな…、と少し呟いて自嘲してみる。


すると不意に後ろの扉が開き、景吾が出てきた。




「ほら 帰るんだろ」
「…うん」



先に歩き出す景吾に走り寄り、隣を歩く。
すると不意に手を握り締めてきて、驚いて顔を見上げた。



「…お前冷え性だから 手も冷たいだろ?
 俺様が暖めてやろうと思ってな」
「…景吾の手も冷たいじゃん」
「五月蝿ぇよ」


少し笑って、手を握ったまま帰路を辿った。
私の家に着いて、手を離す



「じゃぁな」
「え、あ…うん じゃぁね」
「?どうした?」
「何もない。じゃぁね!」
「ぁ、オイ―
 …?」



別れを告げて、バタンと扉を閉める。
靴を脱ぎ家に上がり、自分の部屋へ直行し、ベッドに倒れこむ。













「…明日のこと 何も言わなかったなぁ」















明日は部活がない。
学校もない。
明日は創立記念日で、休みだから

冬休みは、その次の日の終業式の次の日から始まる。




「…はぁ」




溜息を吐いて、制服を脱ぎ着替えた。


リビングに行くと夕飯はもう用意されていて、食卓につく。


夕飯を食べながら、私の心は此処に在らずだった。




























































イヴの朝、寒さで目が覚める。

時計を見れば午前8時。
むくり…と上半身を持ち上げ、頭を起動させる。


「…ほんっと、何も連絡無かったし
 ……彼女 の筈なのになぁ…」


呟き、ベッドから出る。
そしてそのままリビングへと向かった。






























「お早う」

「お早う
 ぁ、今日ね お願いがあるんだけど」

「…なに?」

「買い物に行ってきてほしいのよ
 お母さん、今日忙しくてね…」

「(別に約束もないし…)
 良いよ 何買ってくれば良いの?」

「ケーキ。
 新しいお店ができて…
 地図渡すわ。
 ぁ、それとね…午後5時に予約してあるから、それ以降にお願いね」

「分かった」














その時私は何の疑いも持たずに母のメモを受け取って。

5時までの時間を様々な手段で時間を潰し、4時半になり、私は用意をし始めた。














用意を済まし、家を出る。


歩いて地図の示す場所へと向かう。


冬だから暗くなるのは早く、もうあたりは少し暗くなってきていた。




























































「(えーと、此処の門を曲がれば…)」




最後の曲がり角を曲がる。




そこで私の目に入ってきたのは、ケーキ屋ではなく、広い空き地にその身を落ち着かせている―…














ヘリコプターだった。














「…え?」




私がその声を上げた瞬間、ふわ、と体が持ち上げられる。

俗に言う、お姫様抱っこで…

私の 彼氏に。



「!!?」



驚きの余り声が出せず、ただされるがままにヘリコプターに放り込まれる。



「ちょ…景吾!?」
「黙ってろ」



気付けばヘリコプターは発進していて、もう、どうしようもなかった。




























































「…で、何なわけ?誘拐まがいの事して!」


落ち着いた頃、私は景吾に食って掛かっていった。

景吾は私の言葉を無視し、チラ、と眼下を覗く。
そしてニヤ、と口角を吊り上げたかと思うと、私に「見ろよ」と促してくる。


私は何がなんだか分からずに、下を見る。






























「…っわぁ…」






























眼下に広がるのは 暗闇に輝く辺り一面のライトやイルミネーション。
東京の街は あのビルの立ち並ぶ排気ガスの濃い場所とは違い、
幻想世界へと成り代わっていた。















空は暗いのに、暗い等とは言えない程の輝きだった。














「け、いご これ…」
「Merry Christmas
「…!!」
「正確にはMerry Christmas Eve…かな?」


クス、と笑いながら言う景吾に、私は言葉が出なくて。


「明日は普通にデートしたいんでな…
 今日、見せたかったんだ」


そんな私の置いてけぼりに、更に続ける景吾。
景吾の服の袖を掴み、やっと言葉を搾り出す



「ぁ、りが とぅ…」



何か恥ずかしくて、ちゃんと言えたかは分からないけれど、
景吾が優しく微笑んでくれたので、多分、伝わったのだろう。














不意に景吾が運転席との間のカーテンを閉める。



「景吾…?」
「俺にもプレゼント くれよ」
「あ、ごめ私今日持ってな―」













全部言い終える前に、私の唇は景吾のそれによって塞がれていて。






























私の言葉は 景吾のキスに飲み込まれてしまった。






























「〜っ、ば、か、急にしないでよ」
「フン したくなったんだからしょうがねぇだろ」
「何ソレ自己中!!」














少し言い合いした後、私は諦めて、景吾の胸に頬を寄せた。
景吾は私を抱締め、私の頭の上に己の顔を乗せる。






























あの広場までの時間、そのまま何も言わず、時間を過ごした。




























































素敵なプレゼントをありがとう






























大好きな大好きな






























私の、私だけの サンタクロース






























By Love Mistake. 紫陽 華恋

2005/Christmas/Free dream novels






クリスマスフリー夢…べたまです。
何で、とか聞かないでくださいね。書き易いから、なんて言えない…(笑)

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ただし、絶対に全てのソースをコピーしないで下さい。
背景画像は絶対やめてくださいよ。直リンになっちゃいますからね。
背景はそちらでご自由にして下さい。つけなくても良いし
フリーですが、一言頂けるととても喜びます。
ぁ、感想だけも勿論OKっスよ^^

では駄文ですが…
ハイ。(何)



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